2007年マンション供給ランキング1位の駅を検証

2008年05月19日

2007年の首都圏における駅別の供給戸数は「川崎」駅が1位でした。
つまり、昨年は「川崎」駅を最寄りとするマンション供給が首都圏では一番多かったということです。
ちなみにランキングのベストファイブを見てみると、1位 川崎駅(1477戸)、2位 豊洲駅(1017戸)、3位 武蔵小杉駅(990戸)4位 新浦安駅(835戸)、5位 柏の葉キャンパス駅(684戸)の順となっています。

ベストファイブに入っている各駅の周辺では、再開発事業や新しい街づくりが行われています。どの駅も大規模マンションの登場などが供給戸数増加の要因と言えます。

さて、工業都市としてのイメージが強い川崎の街は、バブル期の頃からシネコンや大型ライブハウス、複合商業施設ができ始め新しく生まれ変わりました。2000年代に入ると、ミューザ川崎シンフォニーホール、大型商業施設ラゾーナ川崎などが次々とオープンして街のエンタテインメント性を高めています。東海道線、京浜東北線の主要停車駅である川崎駅と周辺は、利便性だけでなく、芸術、文化、スポーツなどの面でも発展を遂げています。

ここでランキング1位の川崎駅のマンション供給データを見ると特徴的な点があります。実は駅から少し離れた物件が多く、立地は駅徒歩5分以内から徒歩16分以上まで幅広く分散しています。もちろん駅近くでの大型開発などもありますが、今回集計に入っているマンションは必ずしも川崎駅の近くというわけでもありません。

市場全体で見ると最近は駅近のマンション供給が多いのですが、この川崎エリアでは比較的遠隔な物件が多くなっています。これは土地利用の転換が、駅近というより駅周辺でスムーズに進んでいることが推測されます。さらにマンションの用途地域を見ると、様々な用途地域に分かれていることが分かります。)

工業地域や準工業地域から、商業地域、住居地域など千差万別ですが、これは川崎駅周辺に住・商・工などの様々な施設が混在していたことを物語っています。本来マンションにはある程度の土地の広さが必要です。大規模マンションを建てるには、それに相当する規模の施設などの跡地(あるいは統合した土地)など、まとまった用地確保が前提となります。

もっとも、第一種低層住居専用地域などが多い世田谷の住宅地では、なかなか大規模マンションが建設されません(都立大学跡地など例外はありますが)。一戸建てや小規模な共同住宅をなかなか大きな土地にまとめることが難しいからです。一方、ここ数年で都心に近くて大規模マンションが多い東京都の江東区(ランキング2位の「豊洲」駅も江東区)は、やはり用地のほとんどが工場や倉庫の跡地に関連しています。

川崎駅周辺も同様に、業務系施設のマンション化が活発なエリアです。工業地域や準工業地域というと、工場地帯を連想しがちですが、必ずしもそうとは限りません。行ってみると意外と閑静な集合住宅街に一変している例も多々あります。

川崎エリアでマンション供給が多いのは、都心へのアクセスに優れ(品川9分、東京17分ともに直通)、駅周辺の都市機能が充実し(ラゾーナ川崎、ミューザ川崎など)、しかも比較的買いやすい価格帯(平均坪単価180万円※)で供給されるという、マンション立地としてある意味で優位性を持っているからではないでしょうか。


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